ポメラニアンを飼っていると、ある日突然「後ろ足をかばうように歩いている」「スキップするような歩き方をしている」と気づくことがあります。それ、膝蓋骨脱臼(パテラ)かもしれません。
パテラはポメラニアンに非常に多い整形外科疾患で、早期に正しく対処すれば進行を抑えられます。この記事では、グレード別の症状・治療法の選択基準・自宅ケアをわかりやすく解説します。
膝蓋骨脱臼(パテラ)ってどんな病気?
膝蓋骨とは膝の皿の部分の骨のことです。正常な状態では大腿骨の溝(滑車溝)にはまっていますが、この溝が浅いと膝蓋骨が内側または外側にずれてしまいます。これが膝蓋骨脱臼(パテラ)です。
ポメラニアンの場合、ほとんどが内方脱臼(膝蓋骨が内側にずれるタイプ)です。先天的に骨格構造に問題を抱えているケースが多く、成長とともに症状が現れてきます。
ポメラニアンはなぜパテラになりやすいのか
ポメラニアンは体重が1.8〜3.5kgという超小型犬で、骨格が細く、膝関節への負荷が集中しやすい体型をしています。さらに、以下の要因が重なることでパテラのリスクが高まります。
- 遺伝的に滑車溝が浅い個体が多い
- 活発な動き(ジャンプ・急停止)で膝に繰り返し衝撃が加わる
- 肥満による膝関節への過負荷
- フローリングなど滑りやすい床での生活
グレード別の症状と進行のめやす
パテラは重症度によってグレード1〜4に分類されます。動物病院では触診で膝蓋骨の動きを確認し、グレードを判定します。
グレード1〜4の違いを詳しく解説
| グレード | 状態 | 症状・外見の変化 | 対応の目安 |
|---|---|---|---|
| グレード1 | 手で押すと外れるが、自然に戻る | ほぼ無症状。ときどき足をかばう程度 | 経過観察・生活環境の改善 |
| グレード2 | 自然に外れ、自然に戻る | スキップ歩行・たまに足を上げる | 保存療法が基本。痛みが強ければ手術も検討 |
| グレード3 | 常に外れており、手で戻せるが再び外れる | 足を上げて歩くことが多い・筋肉の萎縮が始まる | 手術を積極的に検討 |
| グレード4 | 常に外れており、手でも戻せない | 患肢をほとんど使えない・O脚など骨変形がある | 手術が必要。早急に受診を |
治療法の選択|保存療法か手術か
パテラの治療は大きく「保存療法」と「手術」の2択です。どちらを選ぶかはグレードと犬の状態によって異なります。
保存療法で対応できるケース
グレード1〜2で痛みや生活支障が少ない場合は、まず保存療法から始めます。
- 体重管理:適正体重を維持して膝への負担を減らす
- 床環境の改善:フローリングにカーペットやマットを敷き、滑りを防止する
- 運動制限:高いところからのジャンプを控えさせる(ソファにスロープを設置するなど)
- 筋力強化:緩やかなウォーキングで大腿四頭筋を強化し、膝を安定させる
- サプリメント:グルコサミン・コンドロイチン配合のサプリで軟骨を保護する
- 消炎鎮痛薬:痛みが強い時期には獣医師の判断で使用する
手術が必要なケースと費用の目安
グレード3以上、またはグレード2でも痛みが強く生活の質に支障が出ている場合は手術を検討します。ポメラニアンのパテラ手術で最も一般的なのは滑車溝形成術(トロクレアプラスティ)で、浅い溝を深く削り直して膝蓋骨が正しい位置に収まるようにします。
| 手術の種類 | 内容 | 費用の目安(片脚) |
|---|---|---|
| 滑車溝形成術 | 大腿骨の溝を深く削り直す | 10〜25万円 |
| 脛骨粗面移動術(脛骨結節転位術) | 靭帯の付着部を正しい位置に移動する | 15〜30万円(複合の場合) |
術後は2〜4週間の安静と、リハビリを含めた回復期間が必要です。両脚同時に行うか時期をずらすかは獣医師と相談してください。
手術費用は決して安くありません。ポメラニアン向けのペット保険比較も参考に、万が一の備えを考えておくと安心です。
自宅でできる予防と日常ケア
パテラは完全に防ぐことは難しいですが、日常の工夫で進行を遅らせることができます。特に子犬のうちから習慣づけることが大切です。
- 床の滑り止め:ジョイントマットやカーペットで全面カバー。フローリングのままは厳禁
- ジャンプ防止:ソファやベッドへはスロープやステップを使わせる。高さ30cm以上からのジャンプは避けさせる
- 適正体重の維持:ポメラニアンの適正体重は1.8〜3.5kg。肥満は膝関節への負担を直接増やす
- 適度な運動:短時間の散歩を複数回に分けて行い、膝まわりの筋肉を維持する
- 定期的な受診:年1〜2回の触診でグレードの変化を早期発見する
よくある質問
パテラは完治しますか?手術しないとダメですか?
グレード1〜2であれば保存療法(環境改善・体重管理・運動制限)で症状を抑えながら生活できるケースが多くあります。ただし骨格的な問題を根本から解消するわけではないため、「完治」というより「うまくコントロールする」というイメージが正確です。グレード3以上は手術が推奨されますが、高齢や他の疾患がある場合は獣医師と総合的に判断します。
パテラの手術後に再発することはありますか?
経験豊富な獣医師による手術であれば成功率は高く、多くのケースで術後の生活の質は改善します。ただし再発がゼロではなく、術後の安静・リハビリ・体重管理が長期的な安定を左右します。
パテラは遺伝しますか?子犬を選ぶときに確認することは?
パテラには遺伝的な素因があります。信頼できるブリーダーは親犬の整形外科検査を行い、健康な骨格を持つ個体同士を繁殖させています。子犬を迎える際は親犬の健康証明書の有無を確認するとよいでしょう。
パテラは何歳から症状が出ますか?
先天的な素因がある場合、生後6ヶ月〜2歳ごろに症状が現れることが多いです。ただし軽度(グレード1)なら無症状のまま高齢になるまで気づかないケースもあります。
まとめ
ポメラニアンの膝蓋骨脱臼(パテラ)について、グレード別の症状から治療法・日常ケアまでをまとめました。
- パテラはポメラニアンに多い先天的な整形外科疾患で、ほとんどが内方脱臼
- グレード1〜2は保存療法(環境改善・体重管理・運動制限)で対応できることが多い
- グレード3以上は手術が必要なケースが多く、費用は10〜30万円程度
- 床の滑り止め・ジャンプ防止・適正体重の維持が最良の予防策
- 年1〜2回の定期受診でグレードの変化を早期発見することが大切
万が一の手術費用に備えて、ポメラニアン向けのペット保険も事前にチェックしておくと安心です。整形外科疾患を補償するプランかどうか、加入前に必ず確認しましょう。